走り方教室

速く走る9(足音)

・足音

無観客で陸上の大会を見ると、トップ選手の足音の高さに驚かされる。地面を強く蹴ることで、前に進むパワーを生み出していることが感じられる。

それを参考にして、子どもたちに『地面を強く蹴ろう』と言ってしまうことは正しいのだろうか。これは、その子どもが教室に来る前にどんな環境で育ったかによって変わってくる。

保護者から何も言われずに育ってきた子どもは『地面を強く蹴ろう』と言って構わないと思う。いまの子どもは取っ組み合いの喧嘩をしたことが無く、地面に力を加える感覚が弱い。その場でパパと相撲を取ってもらうと、力を入れる感覚が分かる時がある。フォームがどうこう、腕ふりがどうこうよりも、地面を強く蹴る。これがかけっこの基本だと思う。

しかし保護者から『大きく腕を振れ』『足を高く上げろ』『足を広げて走れ』『あごを引け』『足首は柔らかくしておけ』とアドバイスを受けて育った子どもは、走りに関しては不自然な育ち方をしてきている。その状態で『地面を強く蹴ろう』と言ってしまうと、さらに間違った方向に力を入れてしまうことが多い。

最終的に大きな音を出したいのは間違いない。しかし安直にそこを目指すのではなく、不自然なクセを取ってあげてから、強く蹴っていくほうがいいのではないだろうか。

陸上選手のYoutubeは【すでにある程度速い子ども】向けであって、運動音痴の子どもにそのまま使うことはできない。5段階のうち4の選手を5にするメソッドはよく配信され、本も出されている。しかし5段階の1や、むしろー1の変なクセが付いた子どもに対する情報はほとんどないように感じる。

僕の指導は、不自然なクセを取るところから始める。まず目指すのは忍者走り。足音を立てずに走る。忍者を知らない子どもも多いので、足を強く着きすぎる子には『地面に半紙が敷いてあるから、破らないようにそっと』とか、逆にやさしく着きすぎる子には『焼き肉の鉄板の上だと思って。熱いからすぐに足をあげなきゃ火傷しちゃうよ』というと、足が速く地面から離れるようになっていく。

教室では空のペットボトルになったようなイメージで走ってもらう。これは割と分かりやすいようで、クセが取れてきたときに『じゃあペットボトルに水を入れて』と言えば、スムーズに力強く蹴ることができる。

足音に関してのまとめ

-1.バタバタ変な音が鳴る →直す必要がある

0.音を鳴らさずに走る →教室ではここを目指す

ただし音を鳴らさずに走る方法ではトップには行けないことも説明しておく。自分の自然な走りができてきたら、むしろ地面を強く押しに行くほうがいい。

1.地面を強く押す →速くなるには必要

2.大きな音が鳴る →トップレベル