ストレッチ2回目は、筋肉を痛めた後のストレッチです。
と書きましたが、結論から言うと、筋肉を痛めた後はストレッチ禁止の期間があります。ストレッチなどしてはいけません。
筋肉や靭帯などが切れて、治っていくには
1、組織が断裂する
2、断裂した組織から出血する
3、出血した血液中にある血小板やフィブリノーゲン、コラーゲンなどが傷口に集まる
4、それらが糊のように傷口にへばりつく、いわゆるカサブタができる
5、カサブタが硬くなる
6、カサブタの中で新しい組織が作られる
7、新しい組織が完成する
8、カサブタが溶けていく
という段階があります。
どのご家庭も3までは安静にしたほうがいいと理解しているのですが、4になると徐々に認識が怪しくなってきます。
ご家庭どころか医療従事者ですら怪しいところです。
4の、カサブタができた段階でストレッチなどしても、カサブタが剥がれてまた出血するだけです。
しかし糊のように出た血小板やフィブリノーゲンの硬さを、医療従事者が『筋肉が張っている』と勘違いしてしまうことがあります。
本人に了解を取れた実例を挙げますと、こんな話もあります。
「スポーツで腰を痛めて鍼灸院に半年くらい通っています。そこの先生には、
『腰が痛いのは筋肉が張っているから』
『いいストレッチを教えてあげる』
と言われて毎日ストレッチしていますが、腰の痛みはもう半年以上続いています。そうしたら
『なかなか治らないのはストレッチ不足』
『これはもうだましだまし使っていくしかない』
『もう少し通う頻度を増やそうか』
と言われました。」
富士地区ではこういう話を聞くことがとても多いです。
どんなときでもストレッチは体にいい!という信仰と、医療水準が他の地区にくらべて低いのが原因だと考えられます。
これを良い状態に持っていくには、患者さんに
・筋肉が張った感じがあってもそれはカサブタの癒着
・コリと勘違いしちゃう人もいるので『伸ばさないで我慢して』と言い聞かせる
・カサブタを剥がさないようストレッチ禁止の期間を設ける
・7あたりからストレッチではなくウォーキング等で体を温め、癒着を溶かしていく
ということを理解してもらう必要があります。
筋肉を痛めた後はストレッチしてはいけません。
ちなみに例で挙げた選手は、ストレッチを止めさせただけで2週間したら痛みが取れました。
いまは元気にスポーツをしています。