走り方教室

速く走る8(バタバタ走る)

・『うちの子バタバタ走るんです』

という悩みを聞くことがある。

そこで『バタバタ走るな』というアドバイスは必要ない。バタバタ走らざるを得ない状況をなんとかすればいいだけの話だ。

少し話は変わるが、足音はとても大切だと思う。僕が前を走っていても、後ろから着いてきている子どもの足音を聞けば、どんな走りをしているかだいたい分かる。長嶋茂雄監督が松井秀喜選手のスイングを電話越しに聞き『いい』『よくない』とアドバイスを送ったという逸話がある。どんな分野でも、いいプレイにはいい音が鳴るのだと思う。

さて、バタバタ走る原因は、足の裏全体で足を着く、足首を柔らかく使おうとする、膝を曲げて走ろうとする。この3つである。

バタバタ走る子どもに、『なわとびを跳ぶマネをしてみて』と言ってみる。

バタバタ走る子はだいたいなわとびが上手くない。そこで『かかとだけで飛んでみて』と言う。すごく跳びづらそうにすると思う。『じゃあつま先のほうで跳んでみて』と言うと、タンタンという跳び方になる。どっちが跳びやすいか聞いてあげれば、つま先のほうと答えるはず。『いつもこの音が鳴るように跳んでごらん』と教えてあげれば、なわとびが得意になる。

なわとびの音が良くなってきたら、次は膝と足首を固めなければならない。これは至難の業だ。なぜなら『足首は柔らかい方がいい』という信仰が日本には根付いているからだ。

体全体をバネにして地面から跳ね返るためには、途中のパーツが緩んでいると厳しい。地面に足が着いた瞬間は、膝が曲がらないように真っすぐ、足首もぐらつかないように硬くする必要がある。

陸上の桐生選手やボルト選手は、しゃがむことができないくらい足首が硬い。その硬さがバネとなり、地面からの反発をもらえるため速く走ることができる。ということを、子どもではなく保護者に納得させる必要がでてくる。自然のままで育てばバタバタ走ることはない。バタバタ走る子どもは、誰かに間違ったアドバイスをされている可能性が高い。そのため、本人ではなく間違ったアドバイスを送っている保護者の意識を変えなければならない。

固めて何回かジャンプしてみると、地面からの反発をもらう感じがつかめてくる。この状態でなわとびを跳んでもらい、片足ずつ交互に跳び、前に進んでいく。慣れてきたら軽くジョギングをしてやると、バネを使って走れるようになっているため、バタバタ音がしなくなっている。