いつ速くなるのか

初回の教室で「どれくらいで速くなりますか?」と聞かれることが多いです。

私は1回で速くなるような教え方をしていません。むしろ1回目はいままでの走り方を崩して、正しい動きに神経回路を作り替える日です。新しいスポーツを始めるようなもので、ぎこちなくなる子もいます。間違った動きで全力で走るのと、正しい動きでぎこちなく走るのとは、どちらが速いとも言えません。

と言っても、教室に来るのはいますぐに速くなりたい子がほとんどです。1時間で速くするやり方はあります。こちらで用意したドリルで、型を作ってしまえばいいです。

やる気がなさそうな子どもが来た場合、その場でこう伝えることにしています。

①5回通って速くなる。ただし1回目が終わった時点ではいまより遅くなる可能性もある。

②「1回だけやって良さそうだったら次も通ってみよう!」ってお母さんに言われてきたとしたら、それは間違ってる。1回目はむしろぎこちなくなるから。5回通う気が無いなら、【足は速くならないけど、50m先に早くたどり着く技術】を1時間やって、それで終わろう。

と、①②の選択肢から選んでもらうことにしています。

1回しか来ない子どもが、5回コースの1回目をするのはマイナスでしかないです。はじめから5回通うつもりで来てください。

私の目標は、中学高校になっても伸びていく子どもにすることです。現実的なことを言えば、中学3年生の新体力テストで満点、体育の成績が5を目指します。

子どもは、小さな大人ではありません。小学生の身長体重で作られた型は、成長していくにつれて動きにくくなっていきます。年齢ごとに走るフォームは変わっていくものです。

他人が作った型では、子ども自身が「なぜ速く走ることができるのか」が分かりません。中学生になって型が崩れてきたときに、その修正ができません。それならまだ型を作らないほうが伸びる可能性があります。

以上の理由から、この教室では5時間かけて速く走るための理論を説明していきます。

見た目上のフォームがそれぞれ違っていても、地面への力の加え方が分かっていれば大丈夫です。走り方教室を卒業した後も伸び続けていくのが理想です。